騎士のプライド、道化のプライド

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 気づいたらラティラスはぶんぶん手と首を振っていた。 「我がままですし、いじっぱりですし、言うことを聞いてくれませんし」  ラティラスはそこで少し笑顔を浮かべた。 「それでも、ワタシは彼女が好きなのです。そして、彼女は私の命の恩人でもあります。そのどちらか片一方だけでも、男が命を懸けるには充分な理由だと思いませんか?」 「……充分すぎて釣りが来るな。まあ、お前も従者代わりにはなるだろう」 「というわけで共同戦線成立ですね。とりあえず、服と食べ物を買って来てください。あと薬。それから、荷物をワタシの宿から取ってきてもらわないと」 「なんで私がそんなことをしなければならない!」 「服を斬ったのはあなたでしょ? それに私はもう顔が出回ってますし」 「この同盟、あまり私に利がないんじゃないか?」 「まあまあ、そのうちに活躍しますよ。たぶん」  ラティラスは「行ってらっしゃい」とひらひら手を振った。
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