騎士のプライド、道化のプライド2

2/3
107人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
「お前はラドレイの家に忍び込んだと言ったな。おそらく、それがケラス・オルニスの耳に入ったんだ。これは推測だが、ラドレイは拷問でもされてお前に出納帳を取られたことを言ってしまったのではないか? 賊の名前と、メンバーであるカディルの名が書かれていたことを」 「あ、ああ……」  手足が情けなく震えだす。  ラドレイの家に忍び込んだ事を後悔してはいない。姫様の居場所を知るためだったのだから。過去に戻り、同じ状況に立たされたら、また同じことをするだろう。それを後悔とは言わないはずだ。  けれど。レーネウスも、メイドも、あの使用人も殺された。自分の行動が原因で。  ルイドバードはラティラスの動揺に気づかずに続ける。 「どうりでカディルが殺されるのが早いと思った。おそらくお前が来ると思って奴を見張っていたのだろう。むしろ、治安維持隊が来なければお前もどうなっていたか。呼んでくれたカディルに感謝だな」  ラティラスは吐き気を抑えるように口元を押さえた。  その行動で、ラティラスが何を考えているのか読み取ったのだろう。ルイドバードは顔をしかめた。 「まさか、罪悪感を感じているわけじゃあるまいな? ラドレイの事は自業自得だぞ。あんな怪しげな組織に金を出して違法行為をしている時点で、自分が危険に陥る覚悟をしているべきだ」 「……でも、娘や使用人に罪はなかったはずです」     
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!