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「おい、おい、そこのお前や。何考えてんねん」強盗の銃口が職員のお姉ちゃんから、煙草野郎に向いた。サングラスとマスクの隙間から除く皮膚から、焦りのオーラが噴出していた。「何考えてんねん、撃つぞ、ほんまに撃つぞ、俺の言う通りせんかったらやるぞ、まじでやるぞ」 銃口を向けられ、まじでやるぞ、と言われた当の男はそれを無視して煙を吐き出した。僕のところからでは表情までは良く分からなかった。みんなと一緒になって犯人の言いなりになるのが嫌だ、という全く無益なこだわり、所謂「はみ出し者のオレ、カッコいい」というポリシーを貫くために命をも惜しまない馬鹿なのか、或は恐怖のために気が狂っているのか、検討がつかなかった。 誰もが二人を見守った。     
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