正夢なんか見ない主義

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   お昼の時間となりお弁当を持って屋上に上がると、礼一はフェンスの側で眠っていた。  春眠暁を覚えず。というか、礼一は日頃大半の時間を勉強に費やし過ぎていて、慢性的に寝不足なだけだ。  でもまあ、礼一の世間話は壊滅的に面白くないので寝ていてもらった方が助かる。 「はっ」  礼一は私がお弁当を食べ終わる頃に目を覚ました。キョロキョロと辺りを見回している礼一に、私は仕方なく声をかける。 「はい、おはよー。あんた、早くご飯食べちゃいなよ。お昼の時間終わっちゃうよ」 「しまった、また夢を見てしまった」  礼一は頭を抱えた。私も頭を抱えたくなる。  その話題について何も聞きたくはなかったが、礼一を見るとその瞳が『どうぞ聞いてくれ』と言っていた。  どうか、現実世界とは関係の無いファンタジーな夢でありますように。 「で、どんな夢?」 「お前に告白して、抱きしめられたからOKかと思いきや、振られる夢」 「もう私の夢見ないでくれる?」  怒りが湧き出たが、もう後の祭りだ。  礼一は、絶対に正夢を見ない。警視総監になるために、絶対に嘘はつかない。自分は常に正しい存在でなければ気がすまない。  ということは、つまり。 「由佳。これからお前に告白するから、ビンタした後にOKしてくれないか」  
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