91人が本棚に入れています
本棚に追加
外に出ると、太陽光がきらきらと落ちてきて目が眩んだ。
爽やかな海風を浴びつつ、改めて礼一の顔を見てみる。
彼の顔はシュッとし過ぎて、もはやゾンビのようになっていた。朝よりもクマがひどくなっている。
「ちょっと、大丈夫? そこのベンチにでも座りなさいよ。エナジードリンクでも買ってきてあげる。あんたね、睡眠不足だと思考能力が低下することくらい知ってるでしょ。せっかくの水族館だったのに、もったいない」
そう言い捨てて、自動販売機へと向かう。すると後ろからか細い声が聞こえてきた。
「昨日、魚の勉強をし過ぎて」
その言葉に、足を止めそうになる。
……ん?
まさか、今日のために勉強してきたの?
睡眠時間を削ってまで、私のために?
私は自動販売機を探しながら、礼一の言葉を反芻していた。
そうか、そうか。魚の勉強を……。
……ん?
なんだ、この妙な気持ちは。
最初のコメントを投稿しよう!