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目覚ましの音で僕は目を覚ます。
見慣れた四角い部屋には陽の光が射し込み、風の動きに合わせてゆらゆらと揺れていた。
僕はネクタイを締め、いつもと同じように会社に向かう。
扉を開けると風が強く吹いていた。
太陽は眩しく、頬を打つ風は冷たい。
僕は今、現実の世界に生きているのだと実感する。
普段の何気ない一つ一つの物事を、初めて心の底から美しいと思うことができた。
何も変わらないと思っていた日常は少しずつ変化を遂げていて、その変化に僕自身が向き合おうとしなかった、ただそれだけのことだった。
本当は随分前からそんなことは分かっていた。
だけど、僕は怖くて目を背けていたのだ。
変わらないと言いつつも、その色を変えていく人の心というものから、ずっと。
それに気付くことが出来た時、なんだか胸のつかえがすっと取れたような心持ちになった。
おかげで僕はその日一日をなんとも晴れやかな気持ちで過ごすことが出来た。
パタン。
家の扉を開けて、四角い部屋の中に帰る。
冷たい水が僕の体を通り抜け、
深い眠りの波に身を委ねる。
それは、彼女との約束だった。
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