◆第一章◆弥月25日・風曜

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 客らしき人物は、独り。  彼は再び、カウンターで突っ伏した。  なかなか奇抜な姿をしているが、それもそのはず、彼は[カラス]という種族。  まず、全身が濃い灰色、ほぼ黒と言って差し支えない。  黒っぽい三角帽子からは、手入れの行き届いていない伸び放題の黒髪が覗く。  気怠そうな着流し。  心なしか、周囲の雰囲気まで、どんより重い。  そこだけ暗いモノトーン調。  そして、着流しから複数本ハミ出した謎の物体がデローンと床に垂れている。  それには、整然と並ぶ吸盤模様。
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