・師走二十九日~師走三十一日【初陣の柊(ひいらぎ)】

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 皆、慣れぬ野営に疲労を募らせているが一刻も早く国境を越えねばならない。  余の首級を狙う矢場又の伏兵に気を配りつつ国境を越える直前、師走三十日夕刻。 「殿‥‥国境線に矢場又が騎兵を先回りさせておりまする」  余と学友会の面々は英才教育を受けているとは言え、鬼と戦った昭島、亮川以外、これが初陣となる。 「手薄な所を夜襲で一点突破せよ。国境さえ越えれば追ってくるまい。両翼から弓隊、本陣の鉄砲隊斉射から、昭島隊には槍足軽に槍衾(やりぶすま)を作らせ突撃。一気に駆け抜けるぞ!」  森林から暗闇の不意討ち、余の作戦通り兵士が動く。 「姫路白鷺と思われる部隊に遭遇! 伝令を回し、騎兵隊を集結させよ!」
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