第一章 師走【雪月花(せつげつか)】

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 東の明石・錦江城(きんこうじょう)との合戦に集中できる絶好の地形。  そして東には精鋭一万五千を派遣しており優勢との事。  年明けには間に合わぬであろうが、領土拡大は確実。  余の元服(十五歳)と同時に父が引退し、城主となって早六年。  二十一歳にして独身。  殿という立場上、早く正室を迎える必要があるのだが‥‥余の初恋は破れた。  お梓‥‥眼鏡の似合う少し年上で一目惚れ。以来、良き縁談も無い。  実は、余は城主などという器ではない。本当は文化人になりたかった。  今でも諦めること無く、書を綴っているが日の目を見ることも無い。  白鷺城では、すでに大掃除・お節料理・餅つき大会などの準備が始まっていた。
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