第一章 師走【雪月花(せつげつか)】

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 矢場又は武芸に秀で、気さくな人柄から信頼厚き三十路の忠臣。  東へと領土を広げるための精鋭軍として白鷺城二万の兵力の内、一万五千を任せた武将である。  余が城主になった年に士官を許した武将なのだが‥‥。 「あの矢場又が謀反‥‥だと? 余の見る目が無かったか‥‥裏切り? 否、明石の仕掛けた埋伏の毒か!」  矢場又は六年かけて、白鷺城に解け込み、兵士を誑かしていたという事か。城に残る兵力は五千。 「兵法に、拠点を攻め落とすには三倍の兵力が必要というのが定石‥‥敵は丁度三倍という事か」
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