2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
勉強机の整理をしていると、大きな正方形レンズ二つ、機能性のみ重視の眼鏡を見つけた。
この眼鏡は、中学生までかけていた。
卒業式の日、僕はずっと憧れていた女子に告白しようと思っていた。
でも……中学校の卒業式の日に何があったのか、何故か僕は覚えていない。
所謂『空白の一日』だ。
ただ、中学生までつけていた眼鏡はその日以降一度もつけていない。
高校からは僕は別の眼鏡をかけ、告白しようと思っていた女子とは別の、昔からの幼馴染と付き合い始めた。
その眼鏡を持つと、中学時代の思い出が蘇った。
勉強も、苦手なスポーツも精一杯頑張った。
由美ちゃんに振り向いてもらうために。
なのに、彼女に告白したかどうかさえ覚えていない。
僕は何気なく、今かけている眼鏡を外し、古い眼鏡をかけてみた。
最初のコメントを投稿しよう!