空白の一日

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勉強机の整理をしていると、大きな正方形レンズ二つ、機能性のみ重視の眼鏡を見つけた。 この眼鏡は、中学生までかけていた。 卒業式の日、僕はずっと憧れていた女子に告白しようと思っていた。 でも……中学校の卒業式の日に何があったのか、何故か僕は覚えていない。 所謂『空白の一日』だ。 ただ、中学生までつけていた眼鏡はその日以降一度もつけていない。 高校からは僕は別の眼鏡をかけ、告白しようと思っていた女子とは別の、昔からの幼馴染と付き合い始めた。 その眼鏡を持つと、中学時代の思い出が蘇った。 勉強も、苦手なスポーツも精一杯頑張った。 由美ちゃんに振り向いてもらうために。 なのに、彼女に告白したかどうかさえ覚えていない。 僕は何気なく、今かけている眼鏡を外し、古い眼鏡をかけてみた。
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