一日目

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一日目

 夏場だというのに、寒さすら感じるほど味気のない廊下。  僕は教授の後ろについて歩いていた。 「説明した通り、キミには、ある実験体の専属カウンセラーになってもらう」 「はい」  僕と教授が向かっているのは、その実験体が生活している実験室だ。  僕は大学時代に教授にスカウトされ、大学を卒業するとともに、こうして実験体のカウンセラーを務めることとなった。 「実験体と接するうえでの注意事項は、もう頭に入っているね?」 「はい、問題ありません」  辞書ほどもある分厚い冊子。その内容は長い時間をかけて、すべて頭の中に入れてある。  これから会う実験体はそれほど特殊で、扱いに注意しないといけないものだからだ。 「注意事項に書いてある通り、実験体が育ってきた環境は特殊だ。キミが大学4年間で学んだことは全く役に立たないかもしれない。手探りになるだろうが、頑張ってくれたまえ」 「はい、ご期待に応えられるよう、尽力いたします」 「それでいい」  教授に案内されてついたのは、重たい鉄の扉の前。  教授が電子ロックと通常の鍵を開けると、ゆっくり扉が開いた。  扉を開いた先には、白い部屋が広がっていた。     
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