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壁は白い、天井も白い、床も、家具も、何もかもが白い。
色があるとするならば、本棚の中にある本の色と、窓から見える、中庭にある景色くらいだろうか。
そして一つの目線を感じる。
少女だ。一人の少女がこちらを見ている。
見た目の年齢は13?14歳程度。長い黒髪。華奢な体躯。優しい瞳。
そう、彼女が。彼女こそが……『不老不死の実験体』。
彼女はこの見た目で20を超える転生を繰り返し、40近い年月を生きている。
まだ、通常の人間で到達可能な年齢だが、実験が成功し続ければ、彼女はこの容姿のまま百年も二百年も生き続けることになる。
僕の仕事は、そんな彼女の話し相手だ。
「はじめまして、キミが私の話し相手になってくれる人だね?」
最初に口を開いたのは彼女だった。
口調やその雰囲気は、見た目の年齢に比べると大人びていて、ゆったりとしている。
「はじめまして。その通りです、僕が今日から君の話し相手です。どうぞよろしくお願いします」
「うん、よろしく」
見た目のせいか、生きてきた環境のせいか。
大人びた雰囲気とは裏腹に、表情や動作の端々からは、純粋さが伝わってくる。
教授の『キミが大学4年間で学んだことは全く役に立たないかもしれない』という言葉が頭に浮かんだ。
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