一日目

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 全くその通りで、僕はこれほどまでに特殊な雰囲気を出す人にいまだかつて出会ったことがない。 「ふふふ、うれしいな。今までどれだけ言葉を学んでも、話せるのは教授やお医者さんと事務的なことだけだったから」 「そうですか」  そう返したが、もちろん資料で知っている。  彼女の行動範囲は、この白い部屋と中庭だけだ。  そこから先は、彼女が『重要機密』であるがゆえ、出ることを許されていない。  もちろん、接触できる人もかなり制限されており、現在は教授と僕と、定期検診で彼女を調べる一部の医師だけだ。 「ずっとお願いして、やっと許してもらえたんだ」 「そうですか」  それも知っている。  彼女は生まれもっての実験体。  不老不死の実験が始まったのは彼女が14歳の誕生日を迎えた時からだが、それよりもずっと前から、彼女はこの白い部屋で一人っきりだ。 「寂しかったでしょう?」 「そうだね。でもそれは今日まで」  常人なら発狂しかねない孤独。だが僕の目には安定した精神状態に見えた。  それも、彼女に施された『教育』の賜物か。 「いままではね。自分を傷つけることや、ここから逃げ出そうとすること以外は誰も私に興味を示してくれなかった。でもこれからは、キミが私の考えを聞いてくれるし、私の行動に反応してくれる」     
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