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六日目
「私にとってキミは一人だけれど、キミにとって私は一人じゃないのかもしれない」
カウンセリングを始めて六日目、彼女はぽつりと呟いた。
「どういう意味ですか?」
そう聞き返すと、彼女はにやりと笑った。
「私の身体は所詮クローン体。手間と費用さえあれば器はいくらでも作れるんだよ。それに、記憶は新しいクローン体に写す時に、いったんコンピューターの中に入れられるから、いくらでもコピーできる。つまり、私はいくらでも複製できるんだよ」
「なるほど、それでどうなるんですか?」
「私自身は、私のクローン体が他に居ることを知らないけれど。キミはもしかすると複数ある私のクローン体と話をしているかもしれない」
「なるほど」
「そこで、いつも思うんだけど。私が複数居ること、または複数居ないことを私が証明することはできるのかな?」
「……もし証明するならどうすればいいと思いましたか?」
ちなみに、不老不死の少女は目の前に居るこの子一人だけだ。
少なくとも僕はそう聞かされている。
「うーん、キミにカマをかけるしかないかなぁ、と思う」
「そうですね」
「って、キミもちゃんと考えてよー」
「……………」
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