六日目

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 彼女と一緒に、彼女の人数の是非について考えることは禁則事項にないので、少し頭を働かせてみる。 「……もし仮に複製が可能として、君を複製するメリットはなんでしょうか?」 「うーん、……ない、かな。つまり、複製はいない?」 「いいえ、メリットはあります。一つ目は後天的な変化に関する実験が行われている場合。つまりは、生活習慣や教育によってどれくらい人が変化するのかを調べる実験です」 「ああ、なるほど。双子とかより私を使った方が正確にデータが取れるもんね」  彼女は、自分が実験体として扱われても嫌そうなそぶりを見せない。  『教育』はこれほどに力があるものなのかと、実感する。そして、恐ろしくもなる。  僕も、僕が気づかぬうちに、誰かの都合で歪められているのだろう。 「もう一つは、バックアップです。複数の君を同じように育てて、1年ごとに一番都合のいい君を転生させる。不慮の事故の回避ですね」  この場合の不慮の事故とは、彼女に人並みの道徳が芽生えることも含まれるのだろう。  それこそ、僕と会話しているこの目の前の少女が、僕との会話で変化して該当してしまう可能性が高い。だからこそ、研究所は何十年も彼女と他者の交流を断っていたんだ。 「なるほど」     
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