五度目の木の下は

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 ユッキが上着のポケットから何かをと取り出して、私に渡して来る。  曇った目でそれを見ると、それには幸せの木と書かれてある。 「また、一緒に決め事をしよう。いい?」  ユッキがそう言う。  それに、私は言葉が出て来ない。嗚咽しか出て来ない。  だから、大きく頷いていみる。何回も頷いてみる。  「大丈夫、もういいよ。分かってるから」  ユッキは、今も優しい。  ずっと優しい。
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