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中学生になってから、生徒会の活動が忙しいかったユッキとは若干の距離を感じることもあったが、それでも概ね私の想い通りに次の4年間が過ぎて行った。
3年生を迎える春の2回目の約束の日には、2本の桜の木の下で私を挟んで3人で肩を並べて迎えることとなった。
この頃から4年に一度のこの日への私の気持ちは変わり始めていたと思う。
単なる三人で楽しく花見をする日では無くて、この日には特別の話がしたくなる。そんな日になっていた。
私たちの住む田舎の小さな町には、一般的な生徒が選択する高校は2校しかない。
普通科高校と農業高校だ。ただ、一部の勉強の出来る子は、片道1時間半以上をかけて遠方の高校に通う子もいた。
もしかしたら、ユッキもそうするのではないかと言う心配が私にはあった。
だから、私は幸運の木の下でこの一番の心配事を確認したかった。
もし、ユッキの希望が私の望みに反する時、私も一年間頑張って、ユッキの後を追わなければならない。
それは、当時の私に取ってかなり厳しい挑戦であった。
でも、私はそんな心配をしながらも、何処か絶対になんとかなるような気もしていた。漠然とだけど、五分咲きの幸運の木が私の希望を叶えてくれる。そんな気持ちがしていたのだ。
私は少しドキドキしながらユッキの思いを聞いてみた。
ところが、ユッキは当たり前の様にこの町の普通科高校の受験を希望していると話してくれた。
今思うと、一度目の約束の日に私が提案した約束のせいなのかもしれない。
実はユッキも実家が農家である私が農業高校に行くのではないかと気になっていたらしいのだ。
それを聞いて来た時、私は逆にそんな心配をしてくれたことに飛び上がって喜びたい、そんな気持ちだった。
やっぱりこの桜の木は私にとって、いや、私たちに取って幸運の木なのだ。改めてそう感じていた。
これで余程受験に失敗しない限り、この関係が3年間続くことが確約された。
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