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「花なんか咲いてないのに」
そんな言うつもりのない言葉が口から出てしまう。
「昔はそんなの関係なく、いつも来てたじゃないか」
「私は、今でも時々来てるよ。でもユッキは、もう忘れたと思ってた。昔のことなんてさ」
取り繕おうとした言葉がまた、ドツボとなる。
「そんなことは・・・」
それから少し話しはしたが、何を言っても嫌味っぽくなってしまって、結局その場に居辛くなってしまい、逃げるように私は家へと戻ってしまった。
その後、ユッキは暫くそこに居た様で、自分の部屋の窓からユッキが帰る姿を確認したのは、私がユッキのもとを去ってから30分は以上は経っていたと思う。
それが切っ掛けとなったのか、夏休みが終わってからはユッキとは殆ど口も利かなくなってしまっていた。私も話しづらかったが、きっとユッキも話しづらかったのだと思う。
それに合わせたように、セイヤは益々私に近づいて来た。そして、今度は私もそれを拒まなかった。
特にユッキの目があるとワザと仲の良い素振りをしてしまっていた。全く動じないユッキに当て付けの様に。
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