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高校3年も終わりを迎え受験の季節がやって来る。
偶然なのだろうか、私が受験した3校中2校はセイヤと同じ大学であった。もう一つは女子大なので重なりようはない。
大学受験の結果は3人とも見事に希望校に合格。
そして、高校の卒業式も終え、間もなく三度目の約束の日がやって来た。
私に取って幸運であるはずの日だ。
受験も上手く行き、空はあの小学5年生になる年の”一度目の約束の日”の様に晴れ渡っていた。なのに、私の心は焦りばかりだった。
私はこの日に何とかユッキと仲直りしたい、そう願っていた。毎日そればかり考えていた。
その年は、開花も早く既に桜の花は満開だった。
「大学は何処に決めた?」
そんな話すらもしない関係になっていたのだ。
「○○大学」
「そっかあ、頑張ったな。セイヤは?」
「俺も同じ大学だよ。ユーリンこれからもよろしくな」
「セイヤも頑張ったんだ」
ユッキは嬉しそうに私たちを見つめていた。
「ユッキは、○○大学だろ。やっぱすげえよ。俺たちとは別世界に生きてるって感じだよ」
セイヤが、私の恐れていた方向に話を持って行こうとしてるのを感じた。ユッキへの敵対心が私には感じられた。
「そんなことないよ。何とか引っ掛かったて感じでさ。そこしか行けなかったからホッとしてる。
ホントは、出来れば俺だって一緒の大学に行きたかった。
二人は一緒で羨ましいよ」
それでもユッキは、優しくセイヤの言葉を受け流した。そんなユッキと離れたくない、私はそう強く思った。
「ご謙遜だろ、それ。
まあ、俺たちは平民同士仲よくするさ。なあ、ユーリン」
セイヤの言葉に私は「やめて」と叫びたかった。
でも、私だって、私だって今までユッキに冷たい対応をしていた手前、
「ん、うん」
それに倣うしかない。
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