五度目の木の下は

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 次の冬休みからは、出来るだけ長く実家に帰るようにした。大学4年になった春休みも、その次の夏休みも。そして、冬休みも。  でも、ユッキの家の前を何度通ってみても、ユッキと会える日は来なかった。  思い切って、ユッキにメールをしてみたが、何度送っても送信エラーとなってしまう。  一度、ユッキのお母さんに偶然出会った時に聞いてもみた。  お母さんの話では、アルバイトで貯めたお金と奨学金で3年からは、大学の近くで一人住まいしているとのことだった。  それで、あまり実家にも帰って来ないのだと。  その時にユッキのアパートの住所は教えてもらったが、まさか行けるはずも無い。ホントは、電話番号かメアドを聞きたかったが、そこまでは聞けなかった。  ユッキのお母さんもそこまで気を回してはくれなかった。多分、当然私が知っていると思ったのだと思う。  連絡先が分かれば、住所は本人から聞けるのに・・・。  ユッキとは笑ってしまうくらいの綺麗なすれ違いだった。  もう幸運は使いつくしてしまったのだろうか?そう思った  ”幸運”  その時になって、私は久しぶりにあの木札のことを思い出した。  小学校に上がる前に二人の”決め事”を書き記して、二人の幸運の木である桜の木にぶら提げたあの木札だ。  私はそれを探して見た。  でも、どこにも見つからない。  随分広い範囲を何時間もかけて探して見た。  それでも見つからなかった。  本当に、幸運はもう私の前から去ってしまったのだろうか?  あの木札を疎かにしてしまったからなのだろうか?  忘れてしまっていた自分にがっかりしてしまう。
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