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残りの微かな望みは私の連絡先が変わってないことだった。ユッキは私の連絡先を知っているはずなのだ。
それから私は、スマホとにらめっこする毎日が続いた。それしか出来ないのだから。
しかし、それも無駄な期待に終わってしまう。
私には、もう幸運の木の恩恵は無くなっているのだと悟った。
でも諦めの悪い人間って、次々に虫の良いこと考えるものだと思う。
もし、私に幸運が無くなってしまったとしても、ユッキにはまだ幸運があって、それがもし私に向かっていれば私はユッキの幸運に救われるかもしれない。
本当に虫のいい話である。
虫のいい話ではあるが、私はそれに掛けるしかなかった。
残りは、大学の卒業後の四度目の約束の日である。
もう、私には桜の木の幸運は期待できない。
今度こそ私は素直になって、自分の手でユッキの幸運を私に向けて、そして掴むんだ。そう決意した。
約束は絶対に守るユッキを信じて・・・。
大学の卒業式も終え、四回目の約束の日がやって来た。セイヤはもちろん来ない。
私は、お昼の少し前からずっと桜の木の下で待っていた。天気は良かった。あの一回目の約束の日の様に。
天気が良いだけで少し希望が持てた気がした。
そして、二時間位まっただろうか、ユッキはやって来た。
見知らぬ女性と二人で。
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