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天気が良かったせいで遠目からでも分かってしまい、出鼻と言う私の出過ぎた鼻はその時点で砕かれてしまった。
「やあ、久しぶり。元気にしてた?」
そう言うユッキに。
「うん・・・」
頷くのが精一杯。
私の目はどうしても、ユッキの隣の女性に行ってしまう。どこかユッキに似たところのある綺麗なお姉さんタイプの女性に。
ユッキはそれに気づいているのか、それともいないのか。淡々と話を始めた。
「セイヤは?」
「一緒じゃないから」
「そうなんだ。セイヤ元気にしてる?」
「うん・・・してると思う」
それから何を話したのか上の空でよく覚えてない。だけど、多分他愛もない話だったと思う。でも、その後はセイヤの話を聞かれなかったことだけは覚えている。
今思えば、ユッキが私の様子から察してくれたのかもしれない。
話す言葉が切れたところで、
「ユーリン綺麗になったね。セイヤのお蔭かな?」
二度目にセイヤの名前を口にした。そして、
「じゃあ・・・」
ユッキはそう言って踵を返す。
「うん・・・じゃあ」
私も頷いて、そう返した。
「じゃあ」と言う言葉が、こんなにずしりと心に重く圧し掛かる言葉だと、私は初めて知った。私は圧し潰されそうになって、つい頷いてしまっていた。
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