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「なぁ。俺に過剰な期待をしてもしょうがないだろ。異世界の救世主になれるなら、こっちでとうに成功してる。それに、人間の夢や愛情に支えられている世界なんて未来が無いぞ」
俺はありがちな派遣理由をあげつらった。
「人間界のモチベーションアップに依存するほど魔界はヤワではありません。それにわたしは落第生でもありません」
ピヨスモンテは魔女っ娘の不文律を真っ赤な顔で否定した。
「じゃあ、勇者のスカウトか? ラスボスと禅問答するなんてまっぴらごめんだぞ。他をあたってくれ」
だいいち、トミノ節というのか、そういう熱いトークができるほど人生経験を積んでない。
「うぐっ・・・・」
ピヨスモンテは完全論破されたらしく、口をへの字に曲げた。
面白い。もっといじめてみよう。魔法少女が契約を迫りに来るなんて滅多にない出し物だしな。
「そういえば、さっき『絶対契約させてみせます』とか断言したよな。その勢いはどうした?」
俺が畳みかけると彼女は絶叫した。
「あなたが好きだから!」
あらあらあら、そう来ましたか。しかも直球勝負。俺も安く見られたもんだ。
どうせ俺の前世が英雄だとか、自分と死に別れた夫だとか、手垢にまみれた理由だろう。
あるいは救国アイテムのパーツが俺自身であるとか、最終兵器発動のキーであるとか。
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