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「あなたの予想はたぶんどれも外れです。それどころかあなた自身の命に係わる問題です。もう時間がありません」
ピヨスモンテは俺の手をぐいっとつかむと突風を巻き起こした。湧き上がる半端ない上昇感。デリケートな部分がヒュンとなる。俺のアパートが、街が、あっというまに縮んでゴミと化した。
加速がやむと、星の海がひらけた。
グーグルアースでしか見たことのない地球が俺の真下で回っている。
「すげええ! 半島の夜って本当に真っ暗なんだな!!」
「そっちですか!」
ピヨスモンテに怒られた。それで俺は訂正した。
「魔女っ娘すげえ!」
「って、棒読みじゃん。小並感はいいです。それよりも問題解決するためにまず状況を把握してください。わかりますか?」
彼女は腕を振り上げて地平線を右から左へなぞってみせた。地の果てから巨人が侵攻してくるとでも言うのか。
「消極的な候補者に現実直視させて強制参加を促す展開か。古臭い演出だな。もう少しひねれよ」
俺は考えうる限り既出の脅威を並べて見せた。
異星人の侵略、未知の巨大天体、太陽フレアの増進、地磁気の異常、極秘の軍事衛星、その暴走、殺人ウイルスのパンデミック、
あるいは偶発最終戦争の兆候、イエローストーンの破局噴火、可能性は皆無に近いがナチス残党の一斉蜂起。
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