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 廊下で志賀にばったりと会う。  志賀は一瞬で表譲を硬くし、それでも気を取り直したように藤野を追いかけてくる。 「藤野、待てよ」  藤野は無視して歩みを速めた。志賀と言葉を交わす気は欠片もない。  志賀と北里と横井が三人で自分を罠にはめたと知ったその日の夜、部屋の固定電話に志賀から留守電が入っていた。藤野が携帯電話に出ないからだ。  悪かったと謝っていた。決して遊びではない。本気だと。  完全にノーマルな藤野を落とすために北里に手を貸してもらったのだと。  藤野が好きだからそうした。信じてくれ、と。  藤野は怒りのままにぶつりと途中で留守電を切って、その場で消去した。  留守電の設定も解除したから、そのあと志賀が電話をかけてきたかどうかは藤野には分からない。 「藤野」  志賀が追いついて藤野の二の腕を掴む。  藤野はつかまれた腕を振り払おうとしたが志賀の力のほうが強かった。引き止められる。
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