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自分はこんなに、物に当たるような性格ではなかったはずだ。むしろ、穏やかで大人しいと言われていたはずなのに。
加賀の嘘を知ってしまったあとから、自分はおかしい。
心からそう思う。
瞼が熱くなる。
「……北里を抱いたら、――絶対に許さない。電話かけてこいよ、言い訳しろよ……! 俺を説得してみせろよ……っ。なに諦めてるんだよっ」
涙が出そうになるのが悔しくて、寄りかかったベッドに頭をもたせかけて天井を見上げる。
唇を噛んで押さえようとする。
だけど結局、それは目尻から流れ落ちて耳元をぬらした。
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