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「それが、藤野さんが来ることになってから、志賀さんは藤野藤野って、――藤野さんのことばかりになって……っ!」  口調が変わった。怒鳴りつけられて、かあっと頭に血が上る。 「自業自得じゃないか!」  思わず藤野は怒鳴り返していた。 「お前が自分から、俺と志賀をくっつけるために画策したんだろ。だったら、うまくいって願い叶ったりなんだろ。今更逆恨みするな……」  ばん、と耳元で音がした。目の前が一瞬白くなる。  床にたたきつけられたのだ。後頭部が割れるように痛んで藤野は思わず両手で頭を抱える。  吐き気までこみ上げて、藤野は顔を背けてえづいた。 「あんたは、疫病神なんだよ」  ぼわぼわとした耳鳴りの向こうに、氷のように冷たい北里の声が聞こえた。 「俺にとっても、志賀さんにとっても。志賀さんがなんて言われてるか知ってる? ろくでもないの連れてきたって。チームワークもできやしないって。――志賀さんだって、あんたがあんな態度取り始めてから、仕事でミスして始末書になって」  それこそ自業自得じゃないかと思うが、吐き気が喉に栓をして声が出ない。
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