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 流れを堰き止められたこめかみの血管が膨れ上がり、耳鳴りがドラのように頭の中で響きはじめる。  大音響の耳鳴りの向こうに北里の声が聞こえた。 「ねえ、藤野さん。あの写真もあるし、普段から不特定多数と関係があったとなれば、そんな人間なら誰に殺されても不思議じゃないと思ってくれると思わない?」  北里の手に爪を立てて掻きむしるが、指の力は変わらなかった。  顔が燃える。こめかみが耳鳴りを押し殺すほどにがんがんと音を立てて痛みはじめる。  焼けるように耳が熱くなる。  目の前がちかちかと光りだして――……。 「北里っ!」  怒鳴る声がかすかに耳に入って、次の瞬間、唐突に首の圧迫が消えた。  熱が一気に流れ去り、入ってきた空気に喉が音を立てて痙攣した。激しく咳き込む。 「なにやってるんだよ、バカ!」 「放せよ!」  言い争う声が聞こえる。  酷く咳き込みすぎて滲み出た涙の向こうに、もみ合う北里と横井の姿が見えた。
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