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 絞められた喉が痛くていがらっぽくて、げほっと咳が出る。 「――……なんだよ、それ……」  つむじ風のような時間が通り過ぎて元に戻ってみれば、そこに残っているのは不思議なことに怒りではなかった。  切なさだった。  北里は、本気で志賀を好きなのだ。  なりふり構わず藤野のところに押しかけてくるほど。  憎い恋敵の藤野に図面を作って渡すほど、志賀が好きで……。  ――だけど志賀は、ここまで好かれていながら、それでも俺がいいと告げた。  きりきりと胸が痛んだ。  叶わない恋に我を失う北里の切ない気持ちが胸を締め付ける。  ――……志賀は北里じゃなくて、俺を選んだ。  志賀の顔が頭に浮かんだ。  それは、ここのところ藤野を猛烈に怒らせていた最近の志賀の顔ではなかった。  焦ったり動揺したりする青ざめた表情ではなくて、太陽のような笑顔。  藤野が、学生時代から、ずっと長い間大切にしてきた宝物。  じわじわと体が熱くなる。  それが、大好きな志賀を思い出したからなのか、それとも北里の恋心が切なすぎるせいなのか藤野には判断がつかない。ただ、どうしてか泣きたくなる。胸がぎりぎりと痛い。  ――なんだよ、これ。なんなんだよ……。
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