休息

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 急いで着替えをしてリビングへ向かえば、やはり藤堂はもう既にそこにいて、母と姉の佳奈に囲まれていた。しかしその二人のほかに予想外の人物もそこにはいた。 「なんで! なんでお前がここにいるんだよ」  彼は僕の顔を見るなりにやりと笑う。そしてこちらにひらひらと手を振ってから、隣り合わせに座っていた藤堂の肩に手を置いた。  その手を見下ろし、不思議そうな表情を浮かべて藤堂は僕を振り返った。 「佐樹さん?」 「藤堂に触るな! 明良、お前はそっちに座れ」  足早に近づいた僕は、予想外の人物――明良の手を思い切りよく払い落とす。そして六人がけのダイニングテーブルの向かい端を指差した。そんな僕の反応に明良は目を細め不服そうに口を尖らせる。 「なんだよ佐樹。冷てぇなぁ、じゃあお前が真ん中で俺がこっちでいいだろ」  一つ椅子を空けて隣に座り直すと、明良は僕の腕を引いていままで自分が座っていた場所に僕を座らせた。 「大体なんでお前、さも当たり前な顔して人の実家にいるんだよ」  予想外過ぎて、頭がついていかない。なぜこんなところに明良がいて和やかにみんなでお茶なんかしているのだ。今日ここにいるなんて連絡は受けていないはずだ。 「なんでって、佳奈ちゃんにお茶しないかって誘われたから」 「はっ?」  明良の言葉に目を見張り、藤堂の向かい側に座っていた佳奈姉を振り返る。するとそれがどうしたと言わんばかりに、肩をすくめて彼女は湯呑みの端を啜った。
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