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「あの時から若い気はしてたけど、あそこ出入りしてた時いくつよ。っていうか、お前いまいくつだ。最後に会ったのは二年前だったか? でも顔を出し始めたのってもっと前だよな」
「いまは十七です。明良と最後に会ったのは多分十五くらいだったと思う。あそこに顔を出してたのは二年ちょっとくらい」
中学二年から高校一年の半ばくらいまであのBARに出入りをしていた。ただ最後に明良に会った日まではさすがにあまり覚えていない。
「馬鹿、若過ぎだっつうの! いくら若くても十八、九かと思ってたのによ。いまが高校生? 十七歳ってどういうことよ」
再び煙草をくわえた明良に肩をすくめれば、ひどく苦い顔をされた。けれど自分も同じような顔をしているのは、間違いない。
こんなところで以前の自分を知っている人間には会いたくなかった。
「俺も相当遊んでるから人のこと言えねぇし、あんまとやかく言いたくないけどな。佐樹は俺にとって大事な親友なわけ……いまは?」
「まったくないです」
高校に入ってあの人と顔を合わせるようになってから、後ろめたさが強くなってもう二度と行かないと決めた。
「そ、ならいい……まだ遊んでたら間違いなく俺はお前ボコらなきゃなんねぇからな」
カチリと音を立てたライターに火が付いて、目の前で紫煙がゆらりと揺れる。その向こうに見えるのは言葉にならないという表情だ。
「俺達と同じ店に出入りしてたことはあいつに言わねぇけど、そのうちバレるからな。そん時は自分で言えよ……つうか、渉のやつ気づけよな」
舌打ちして苛々と髪をかき乱す明良の仕草に思わずため息が漏れた。
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