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どこか自嘲気味に笑った藤堂のその表情に、思わず僕はうな垂れるように片手で額を押さえ俯いた。
「悪い、余計なこと聞いた。うん、そうだよな。うん、いまのは僕が悪かった」
いまこの状況でそんな質問をする僕は最低だ。冗談でもからかいでもなく、こんなに真剣に向き合ってきているのだから。一時の気の迷いというわけでもなさそうだ。それにここは女っ気が極端に少ない場所でもなければ、閉鎖された空間でもない。ましてやごく普通の共学の私立高校。
男女比だって工業高校でもないのだから半々に近い。
「とりあえず、ちょっと時間をくれないか? 少し落ち着いて考えるから」
そうだ、まず動転してうまく働いていない頭を冷やさないとどうしようもない。
「あ、これってその、あれだ。えっと」
しどろもどろな僕の様子にほんの少しだけ首を傾げたが、藤堂はすぐに言いたいことに合点がいったのか、微かに笑みを浮かべる。
「応えてくれるなら。あなたとお付き合いさせてください」
ふわりとした藤堂の笑みは男の自分さえ一瞬、胸が思わず高鳴るほど綺麗なものだった。照れたように少しはにかんだその表情に、不覚にもまた見とれる。
「まっすぐなんだよな」
「え?」
ぽつりと小さく呟いた僕の独り言に、藤堂は不思議そうに首を傾げた。
「なんでもない」
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