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代謝と代償
五月の連休の最中。優美は大学の近くのファミレスでアルバイトに精を出していた。絵里奈と大学の帰りにおやつを食べようと、寄り道した時にこの広告を見つけた。
連休中は他のアルバイト店員が不足となるので、この数日間だけの急募採用との事。実際の優輝は中学生といえど、女子大生・優美として生きていくうちに変化が生まれていたのかもしれない。それだけに、新しい挑戦の一つにアルバイトを選んだ。最初の経験ならこの短期間はうってつけだ。よほど人手不足だったのか、学生証の提示と店側が発行した履歴書(生年月日と名前以外に書くのはなかったが)に書いたら、すぐに採用となった。
家に帰ると、リビングのL字に配置したソファに腰掛けて学園長に報告したが、本人はちょっと戸惑った表情になった。
「どうして、急にアルバイトをする気になったんだ?」
「ダメなの?」
「いや、そういうわけじゃないが・・・」
学園長はしばし話を中断した。
「最近の優美は男遊びを止めて、家事をしてくれてるだろ?」
殺したダメな優美がそんな事をしなかっただけに怪しまれているのか?
さすがに優輝は焦った。が、違ったようだ。
「お父さんは妻を早く亡くしたから、お前には長生きして欲しいんだ。子供が産めなくても健康でいればいい。今の優美を見ているだけでも幸せなんだ」
「ありがとう、パパ!」
娘は父親に飛びついた。
(いい父親じゃないか)と優輝は思った。自分を捨てた両親とは大違いだ。こんな親切な人なのに、頭痛の種を植え付けていた以前の優美は人として本当にクズだったのだと改めて理解した。それだけに、今より良い、学園長の理想とする優美になると自身に誓った。
「私もパパには幸せに生きて欲しいわ。だから、私の稼いだお金で何かお礼をするわ」
娘に化けた美少年の偽りのないウィンクに、学園長は胸が熱くなった。
こうして、優輝は優美に磨きをかける為、ウェイトレスのアルバイトを始めた。
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