第1章

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 漫才は、お二人の喋りがメインなので、わかりやすくて、何よりも、とても面白いから、大好きです!!  この前のラジオで、言っていた「あなたの夢を叶えます!」という企画は、本当ですか?  私の夢は、ピアニストになって、世界中で活躍する事です。  今、私が、一番好きなのは、ピアノです。  二番目に好きなのが、「……ハーモニーの木間タカシさん」です。  勝手なお願いですが、「私の夢」に、お力を貸していただけないでしょうか?  木間さんにも、実際に逢って、お話がしてみたいです!!  よろしくお願いいたします。                             有野 ヒカル 「……」  タカシは、手紙を読み終えた後、さっきまで怒られていた事務所の専務に、 「専務!例の、ラジオの企画、この子で、やりたいです!!」 「あ~ん、お前から積極的に仕事を、やりたいって……どんな子だ?」 「十九歳の、ピアニストの卵ちゃんですよ!!」 「ヒカル、そんなにソワソワしないのっ!」  ヒカルの願いは、タカシに通じた。しかも、ラジオの企画から、テレビの企画に変更になったのだ。ヒカルは、テレビ局が、来るとあって、相当緊張していた。 「ピンポーン!」  テレビ局が、やって来た。 「は~い!」  ヒカルの母は、少し髪形を気にしながら、玄関に向かって飛んでいった。 「ヒカル……さん?」  タカシは、初対面となるヒカルに話しかけた。 「はっ、はいっ!そうですっ!!」 「プロデューサーから、説明があるから、よく聞いておいてね!」 「はいっ!」  撮影が、始まった。タカシは、所々で切れ味鋭いボケをかましながら、現場の緊張をほぐしていった。  ヒカルは、自らが作曲したという曲を、即興(そっきょう)でピアノを弾いてタカシに聴かせていた。 「……ブラボー~!!凄いな、ヒカルちゃん!!」  タカシは、直感的にヒカルには、音楽の才能が、充分にある、と思った。 「いえ、そんな……まだまだ、下手くそだし……」 「さっき、弾いてくれた曲の中に……」 「ちょっと、他のとは違う雰囲気の曲が、あったよね?」 「えっ!?どれだろう……?」 「イントロが、凄くきれいな……」 「これ、ですか?」  ヒカルは、即興でイントロ部分だけを、弾いてみた。 「いや、違うな。もっと、テンポが、速いというか……リズミカルというか……」
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