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ジンによれば、特殊な装置があれば、人の寿命を自分に移し替えて寿命を伸ばすことが出来るという。
寿命が伸びれば、それだけ肌の質や筋肉を保ったまま、若々しい身体を維持することが出来る。
誰もが嫌がる身体の老いを、少しでも遅らせることが出来る。
「地上が豊かになっても、寿命を早める電波が流し続けられている理由は、それなんだ。俺たちの寿命が、勝手に他者に横流しされてるんだぜ? 地上の人たちは、上空都市の人間に殺され続けているも同然だ」
蓮の花のタトゥーをぽりぽりと掻きながら、ギンジがなぜかポケットから黒ぶち眼鏡を取り出した。
「そんでね、ヒバリちゃん! 俺たちは無闇矢鱈と人を殺してるわけじゃないよ。この特殊な眼鏡を使って、寿命を伸ばしてるかそうでないかを見極めてから、バーンッて銃を撃ってんの」
人差し指と親指を立てて銃を作り、トリガーを引くモノマネを披露するギンジに、ヒバリは目を丸くする。
「特殊な、眼鏡……?」
リップクリームで分厚い唇を潤わせたサオリが、ギンジの手から黒ぶち眼鏡を奪い取った。
「そっ。この眼鏡をかけて相手を見ると、寿命を装置で無理やり伸ばしてる奴は、レンズ越しに赤く光って見える。逆に、普通に生きてるやつは青く見えるのさ。ヒバリ、あんたの色は青。つまり寿命を伸ばさずに暮らしてるってことが分かる」
「そんなものが地上に出回っていることさえも、知らなかった」
無知な自分にショックを受けるヒバリであったが、ここでジンが場を仕切り直す。
「……で、俺たちが明日襲撃するのは、上空都市の脳と呼ばれている場所。通称『スカイタワー』。この上空都市の主なシステムが設置されている建物だ」
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