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episode:3
***
翌日、よく晴れ渡った青空の下で。
空に一番近い場所『スカイタワー』内では、幾つもの銃声が鳴り響いていた。
「お前ら、早くこっちに来い! ここにも追っ手がっ、ぐわっ」
最後尾に付いていた者が、ひとり、またひとりと減っていく。
複数のチームに別れ奇襲をかけた『survivor』であったが、確実にその数は減りつつあった。
スカイタワーで応戦する上空都市に住む者たちが、地上から這い上がり戦う彼らを見ては、嘲笑う。
「お前ら地上人の寿命を有効活用してやってるだけでも、有難く思えよ~? この無能集団が!」
黒ぶちメガネ越しに赤く光る者を見つけ、ギンジは怒りを露わにした。
「五月蝿え! それは俺たちの寿命だ、俺たちの命だ! 勝手に使ってんじゃねぇよ!!」
ヒュンヒュンっと、ギンジの放った銃弾が、スカイタワー職員の頬を掠めていく。
「幼稚な銃の扱い方だな、お前。あ、そうか。お前ら、年食うの早かったんだったな。ってことは、そこの金髪頭は12歳の知能してんのか、あははっ! おもしれぇ!」
「俺たちを、笑うんじゃ……」
ギンジの眉間に、銃弾が貫通した。
プシッと血を吹かせ、彼は無慈悲にもスカイタワーの廊下に倒れ込む。
「うわぁぁぁ! ギンジが殺られた! みんな、もっと撃てーっ!!」
額から流れる生暖かい血を感じながら、仲間たちの声を聞き、朦朧とする意識の中でギンジは青空に向かって手を伸ばす。
「……もうすぐ、自由が手に入るんだ……。そしたら俺は飛行士になって、空を……思い切り、飛…………」
伸ばされた手はパタリと床に落ち、彼の夢がそれ以降、語られることは無かった。
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