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「……終わっ、た」
「ボス、これで地上に電波は、もう……」
「ああ、そうだな」
会話を交えているのが自分達ふたりだけであることに気付く。
仲間がついて来たと思っていたのはサオリとジンだけであり、先ほどまで共に立っていた仲間たちは、皆血を流し生き絶えていた。
「……これで、やっと……」
勝利の余韻に浸る間もなく、サオリの身体も膝から崩れ落ちた。
「サオリ!」
ジンが急いで抱き止めれば、腕の中には愛する者に抱かれ、幸せそうな笑みを浮かべる女性の姿が。
「……嗚呼、ボス、どこに、行ったの……?」
「サオリ、俺はここにいるぞ?」
鈍く灰色に濁り始めた世界の片隅で、神童 沙織は小さく後悔の念を呟く。
「私、貴方のこと好きだって、まだ言えてな……言えば、良かっ、」
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