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サオリの亡骸を抱き寄せ、静かに仲間の死を噛みしめている彼の背後に近づく、ひとつの影があった。
「ジン、……」
物陰に隠れていろと命令されていたヒバリは、腕時計から流れるニュースを確認しながら、そろそろと姿を現す。
「今、電子機器の全てに、速報が出てる。『土壌汚染を和らげる地上への電波供給が、止まった』って……。これって」
「ああ。寿命を早める電波のことだろうな。……みんな、偽の情報に騙されてやがるんだ」
目的を果たし、力無くそう答えたジンは、手にしていた銃をヒバリに投げた。
「さぁ、選べよ。仲間になるか、俺を殺すか……選んでも良いぜ」
放り投げられた銃を受け取ったヒバリは、彼と、窓の外に広がる虚偽の世界を、見比べる。
「わたしは、……」
少女が決意を口にしようとした、その時だった。
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