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「目が覚めたんだね、ジン」
嘗て恋い焦がれ、空を見上げていたあの少女が、彼の目の前に現れた。
しかし、彼女……ヒバリの姿は、少女というよりは……美しい女性へと変貌を遂げていた。
「ヒバリ、その姿は何だ……? 俺はそんなにも長い間、眠っていたのか?」
ヒバリは煌びやかな長髪を、左右に揺らす。
「いいえ、違うわ。その答えは、自分の目で確かめて」
そう言うと、スッとあの黒ぶちメガネを差し出される。
素直に眼鏡を手に取り耳にかけた後、示された鏡に映る自分の容姿を見て、ジンは…………言葉を失った。
自身の身体は、敵で何人も見つけた、あの忌まわしき赤い光を放っていた。
更には、顔や身体付きは、数年前の若い自分に戻っていた。
これはまさに、他者から寿命を奪った証拠。
誰かの命を、譲り受けた事象を示す数々であった。
「そうか、お前が…………」
代わりに歳をとったヒバリを見て、彼は理解した。
「ヒバリ、お前は…………自分の寿命を、俺に渡したんだな?」
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