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「ええ、そうよ」
「なんでそんな無茶をしたんだ、馬鹿野郎!」
アジトの壁を拳で殴りつけ、苛立ちを露わにしたジンにも怖気づくことなく、ヒバリは堂々としていた。
「だって貴方を、助けたかったんですもの」
「なに?」
「私は、選んだの。貴方を助けて、共に生きるって。だって私、」
そこでヒバリは、少女のように初々しい、儚げな笑みを浮かべる。
「血塗れで倒れて死にかけてる貴方を見て、あの時。貴方のことをもっと知りたい、って思ってしまったから」
生命が金で売買され、虚偽の溢れるこの世界で。
「だから、私と共に生きてください」
生き残った者たちは、それぞれの想いを胸に。
「地上にいた貴方のことを、たくさん教えてください」
限りある命を、平等に燃やし続けて。
「……ったく。じゃぁ、お前もいろいろと教えろよ? 上空都市のこと。寿命を縮める電波は止まったが、俺たちがやらないといけないことは、まだまだたくさんあるんだからよ」
「はいっ。これからよろしくね、ジン」
「ああ。よろしく、ヒバリ」
また、歩き始める。
──────── survivor 【完】────────
(虚偽だらけの世界でふたり、 答え合わせをしよう)
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