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光の当たらないダンスホールの片隅では、私腹を肥やしたスーツ姿のおじさん達が、笑いながら汚染された地上を見下ろしている。
「地上ではまた、汚染度の低い土地を求めて、暴動が起きているとかなんとか……」
「おお、怖い怖い。貧乏人は心まで醜くなるのでしょうな。此処から地に向かって、紙幣でもばら撒いてやりましょうか」
「はっはっ。それは良い」
汚染のまだ広がっていないこの地上から遠く離れた建物の中でこんなことを思える私たちは、きっと幸せ者なのだろう。
……そう、思っていたのに。
次の瞬間、幸せだと自分に言い聞かせていた世界は、音を立てて崩壊し始め、暗転する。
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