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やがて静かになったダンスホールには、無数の死体と。
行く宛の無い私と、出血死により命を落とした先輩の亡骸だけが、横たわっていた。
「う、うぅっ……」
へたり込み、右も左も分からずに此処にやって来た私を甲斐甲斐しく面倒を見てくれて、最後まで無駄な正義感を振りかざしていた先輩の死に、涙していると。
「おー。お前まだ、生きてんじゃねぇか」
前から近付いてきた人物に、ガチャッと銃口を額に突きつけられる。
それは、世界への反旗を翻す決意を高らかに宣言していた、あの黒髪の男だった。
「あー、聞いたぜ? ここのダンサーは皆、元は捨て子だってなぁ。お前もそうなの? 名前は?」
問いかけには答えずに、俯いたまま声帯を震わせる。
「殺すなら、早く殺しなさいよ」
「逃げも戦いもしてねぇのに、殺されていいのか?」
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