友愛の先に

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 ホッとしたようすで胸をなでおろした青年は、しっかりと首を縦に振る。50フロスが上限となると、効能をはっきりと実感できるギリギリの値段になる。プレゼント用の包装分の代金をサービスすることにした。 「贈り物とのことですが、まずはお客様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」 「バーンハート・ワイエスです」 「お贈りする方について教えていただいてもよろしいでしょうか?」  ユラの問いかけに、バーンハートと名乗った青年は少し目を伏せる。視線をさまよわせたあと、口を開く。 「贈る相手はクラスメイトです。ただ、あんまり話をしたことのない相手なんです。これをきっかけに話をする機会を増やせたらいいなと思って」  ほんのり顔を赤らめ、かわいらしい理由を伝えてきた。口元が緩みそうになるのをこらえ、ユラは質問を続ける。 「あら、ではその方が何か他の花薬を服用されているかどうかは分かりませんか?」 「分かりません……。そのことが分からないと贈るのは危ないんでしょうか?」  バーンハートはすがるような目でユラを見つめる。ユラはそんな様子のバーンハートを落ち着かせるように、声音を努めて優しいものにする。
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