友愛の先に

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「大丈夫ですよ。花薬には副作用と呼べるようなものはありませんし、飲み合わせでどうこうなるようなこともありません。しいて言うのであれば、花薬の効能が近いもの同士であれば、せっかくの花薬の効果を実感しづらくなる程度です」  ユラの説明に、バーンハートは見てわかるほどに安堵している。花薬の購入も、人に贈ることも初めての経験なのであろう。店を構えてから、初めて来店する客のほとんどが花薬初心者である。購入の際の不安を取り除き、納得のうえ購入してもらうための問診でもあるのだ。 「じゃあ、渡すときに相手に他の花薬を飲んでいないか確認をすればいいんですか?」 「そうですね。確認して、もし他の花薬を服用しているのであれば、先ほどの説明をして、時期をずらして服用していただければそれで問題はありません」  バーンハートは一度ゆっくりと深くうなずくと、ユラにまっすぐに視線を向けてきた。 「了解です。忘れず確認します」 「では花薬をお包みいたしますので、少々お待ちください。準備ができたらお声がけいたします。」 「ありがとうございます。あっ、でも包装用のお代は……」
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