友愛の先に

15/56
144人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
「……分かりました。返品の受付をいたします。レシートはお持ちではないでしょうから、昨日の帳簿を確認して返金いたします。少々お待ちください」  返品を受け付けることにし、帳簿確認のために席を立った。  店の奥に入ると、追うようにしてマリーが入ってきた。店内に店員がいない状態にならないように、奥へと続く扉とギリギリのところに、もたれるようにして立っている。 「ちょっとちょっと、いいの? それ、昨日のハンサムな彼の買った花薬でしょう? それにあの子、なんか変よ? 言動と見た目がちぐはぐっていうかさ」  直接対峙して会話をしたユラも、マリーの言いたいことはよくわかる。見た目の印象と中身のギャップがある人は多くいる。けれど、そうしたギャップは話していくうちに薄れていくものだ。けれど、マドックのギャップは話せば話すほどに違和感が強まっていく。 「ええ、そうね。でも、私たちがお節介を焼くにはまだ早いと思うのよ。」  帳簿を開き、昨日のバーンハートとの売買のやり取りの項目を探しながら、ユラは応える。 「ふうん? つまり時期が来たらお節介焼く可能性もあるってわけね?」
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!