友愛の先に

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「可能性の話よ。介入することになってうまくことを運ぶことができたのなら、私たちの常連客が増える。逆なら客を失う。できることなら、私たちに関わらずに解決してもらって、そのままなのが一番だわ」  ユラが冷静に状況を分析すると、マリーは頭の後ろで手を組む。ついでに足もクロスさせる。見る人によっては、はしたないととられかねない姿勢である。  それもそうね、とマリーは言って、もたれていた背を離し、店内へと戻っていく。意外にも淡泊な反応で、ユラは少し拍子抜けした。  ユラは帳簿から見つけたバーンハートとの売買記録を確認し、店内に戻って50フロスを準備する。  応接セットの方では、相変わらずマドックが険しい顔で机をにらんでいた。近付こうとしたとき、店の扉が開いた。
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