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「私たちが介入する問題ではないと判断したことと、お客様のご希望だったことが理由です。レッキーさんから返金分の50フロスはお受け取りになりましたか?」
ユラが努めて冷静に対処すると、バーンハートも不服そうにしながらも、うなずいた。
「ええ。『何のつもりか分からないけど、やめてくれ』って言って渡してきましたよ」
吐き捨てるように言うバーンハートは、顔の造形が整っている分、迫力が増しており、ユラは今度こそ気圧されてしまう。
「ねえ、店員さん……、ユラ・カーゾンさんっていうんですね。ユラさん、どうやったらマドックにちゃんと花薬を渡すことができると思いますか?」
先ほどとは打って変わって、懇願するような言い方でバーンハートはユラに意見を求めてくる。その子犬のような目を無視することはできず、ついついユラはお節介を焼いてしまう。
「あの、まずは状況をお聞きしたいのですが、ワイエスさん」
「ああ、そうですよね、すみません。それと、ユラさん、俺のことはバーンハートって呼んでくださって結構ですよ。ファミリーネームだとなんだかむず痒くて」
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