友愛の先に

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「それでは、バーンハートさん、どのようにお渡しになったのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」  ユラがそう告げると、バーンハートは乗り出していた体を、応接セットの椅子に深く腰掛けなおす。どうやら話は長くなるらしい。 「まず、俺はマドックを呼び出したんです。学校が終わってから、グラウンドの方に来てくれって。でもやって来たマドックはいらだった様子でした」  バーンハートの説明を聞いて、眉間に皺を寄せたマドックの顔が思い浮かぶ。 「俺、なんでマドックが怒ってるのか分からなくて聞いたんですよ。でもあいつは『脅すつもりか』ってわけわかんないこと言い出して……。で、しょうがないから用件を済ませようと思って、ユラさんが丁寧に包装してくれた袋を取り出して渡したんです。『仲良くなりたいんだ』と言って」  ふむ、とユラはあごに手を当て考える。そもそも、バーンハートはマドックのことをどれくらい知っているのだろうか。ユラもマドックのことを理解できているわけではないが、あの器を間違えたような魂の在り方は独特だ。  まっすぐなバーンハートとちぐはぐなマドックとでは、二人の間にある壁は高いように思う。
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