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「ははっ、なんだか改めて口にすると恥ずかしいですね。そんなことより、どうやったらマドックが受け取ってくれると思いますか? あの強い口調と集団を率いる感じは『野性的な美しさ』って感じだと思うんだけどなあ」
話を打ち切り、バーンハートは次の話に持っていく。明るいのに仄暗いという相反する属性に当てられたユラは、ぐったりと疲れてしまった。けれど適当な返しをしては、花薬師としての沽券にかかわる。
「今の考えをちゃんと伝えたらいいんじゃないでしょうか? 急に渡すよりは受け取ってもらいやすくはなるかもしれませんよ」
今の二人の様子では一筋縄ではいかないと思うが、とはさすがに言えなかった。バーンハートは自分でも言ったように、表面しか見てもらえず、表面しか見ることができなかったのであれば、彼の見たマドックの『裏』が本当に裏かどうか見抜くことはできないだろう。
マドックに関してもあの警戒心の強さだ。バーンハートがもしも軽率な言葉を使おうものなら、心を閉ざしてしまうかもしれない。
──身を切って、一つお節介を焼いてみるか。
「少し、私の話をしてもいいですか?」
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